私は京大実戦模試の数学で、全国1位を取ったことがあります。同じ模試で、英語の偏差値は42.9でした。

その私が言います。受験で最も重要な科目は、英語です。
得意科目を推しているわけではありません。むしろ逆で、これは自分が英語を軽視した結果として得た結論です。この記事では、なぜそう考えるに至ったかを書きます。
結論:英語は「裏切らない」科目だから
理由を一言でまとめると、こうなります。
数学と理科は、問題によって得点が大きく振れる。英語はほとんど振れない。
そして入試は、平均点を競う競技ではありません。本番の一日に、合格最低点を超えられるかどうかを問われる競技です。この性質を踏まえると、得点が振れにくい科目を持っているかどうかが、合否を大きく左右します。
以下、順に説明します。
数学と理科は、問題によって点が乱高下する
数学は、1問の重みが大きすぎる
難関大の数学は、問題数が少ないぶん1問あたりの配点が大きくなります。大問4〜6問構成であれば、1問が全体の2割前後を占める計算です。
そして数学の恐ろしいところは、1問が0点か満点かに分かれやすいことです。方針が見えれば最後まで通る。見えなければ、途中点をいくらか拾って終わる。実力が同じでも、その日の問題との相性で1完から2完分の差が簡単に生まれます。
つまり数学は、実力を固定しても得点が大きく散らばる科目です。
理科も、設定を読み違えると連鎖する
理科は数学より設問が細かく刻まれているぶん、多少は安定します。ただし物理にせよ化学にせよ、大問の前半の設定を読み違えると、後半がまとめて崩れる構造になっています。
大問1つを丸ごと落とすリスクがある以上、これも安定した科目とは言えません。
英語は、実力がほぼそのまま点になる
英語はこの点で対照的です。
設問が多く、配点が細かく分散しています。読める文章は読めるし、書ける英文は書ける。前日にできたことは当日もできるし、できなかったことは当日もできない。
これは裏を返せば「本番で急に跳ねることがない」ということでもあります。英語で一発逆転は起きません。ですが同時に、英語で崩壊することもない。
積み上げた実力が、そのまま安定して点になる。受験科目の中で、これが最も予測可能な科目です。
入試は「平均点を取る競技」ではなく「合格最低点を超える競技」
ここが議論の核心です。
模試を10回受けて平均を取るなら、得点の振れ幅は問題になりません。良い日と悪い日が均されるからです。
しかし本番は1回きりです。均されません。
数学に依存した戦略は、「本番で数学が当たること」に賭けるのと同じです。当たれば圧勝しますが、外せば終わります。数学が得意な受験生ほど、この危うさに気づきにくい。私がまさにそうでした。
一方、英語で安定して点を取れる人は、数学が崩れた日でも耐えられます。英語は逆転の武器にはなりませんが、沈まないための浮き輪として機能します。そして受験で必要なのは、多くの場合、逆転ではなく沈まないことです。
私の実例:全国1位を取れても、毎回1位ではない
誤解のないように書いておくと、私は毎回数学で全国1位だったわけではありません。あの模試でたまたま噛み合っただけです。
もう結果は残っていませんでしたが、東大模試で数学が平均点以下だったこともありました。
同じ人間が同じ時期に受けても、数学の成績はこれだけ動きます。これが分散という言葉の実感です。
対して英語は、どの模試でも偏差値40台前半で安定していました。良くもならなければ悪くもならない。裏切らないという表現は、良い意味でも悪い意味でも正確です。
それでも私は、英語を後回しにした
正直に書きます。以上のことを、私は受験生のときには理解していませんでした。
数学と物理が楽しく、伸びる実感もあったので、そちらに時間を注ぎ続けました。英語は「後でやればいい」と思っていました。
結果的に浪人して、現在は東京医科歯科大学(現在の東京科学大学)の医学科に通っています。
結果として得た教訓が、この記事の内容です。得意科目に時間を注ぐのは気持ちがいい。でもそれは、多くの場合ただの現実逃避です。
配点の現実も、英語の重要性を裏づけている
戦略論だけでなく、単純な配点の話もしておきます。
私が進学した東京科学大学の医学部医学科の場合、個別試験の配点は数学120点・英語120点・理科120点です。英語は数学とまったく同じ重みを持っています。
因みに今回載せた模試では医学科がB判定でした。英語がもう少しでも出来ていればA判定だったでしょう。
配点は大学ごとに異なるので一般化はできません。ですが、志望校の配点表を確認せずに「理系だから数学と理科」と決めてしまうのは危険です。まず配点を見てください。英語が数学と同格、あるいはそれ以上という大学は珍しくありません。
英語は伸びるのが遅い。だから最も早く始めるべき
もう一つ、英語には決定的な性質があります。伸びるまでに時間がかかるということです。
数学は、ある日突然見え方が変わることがあります。1つの考え方が入っただけで、解ける問題の範囲が一気に広がる。短期間で大きく動く科目です。
英語にはそれがありません。語彙、文法、構文、読解速度——どれも積み上げでしか伸びません。3ヶ月で偏差値が20上がるということは、まず起きない。
つまり英語は、最も早く着手すべきで、最も後回しにしてはいけない科目です。私が犯した最大の戦略ミスは、これを逆にやったことでした。
まとめ
- 数学と理科は、問題との相性で得点が大きく振れる
- 英語は実力がそのまま点になり、ほとんど振れない
- 入試は1回勝負なので、振れの大きい科目に依存するのは危険
- 英語は逆転の武器ではなく、沈まないための土台
- 英語は伸びるのが遅い。だから最初に着手すべき
数学が得意な人ほど、この話は受け入れづらいと思います。私もそうでした。ですが、数学が得意であることと、数学に頼っていいことは別の話です。
得意科目は、あなたを守ってはくれません。守ってくれるのは、崩れない科目のほうです。
これからも受験生の皆さんにとって有益な情報を発信していきます。